EV用電池とキャパシタの性能

1 1月

EV(電気自動車)の最重要技術課題といえば何といっても電池(バッテリー)です。「EV ガソリン車比較」にも書きましたが、電池と言うものはあまりにも重くて大きい(値段も高いけど今回は割愛)ため、EVは100年近く内燃機関の日陰で暮らす事になりました。

逆に言えば如何に軽くパワフルにするかが電池開発のポイントです。これさえ出来れば、内燃機関車はもはや過去の遺物となるでしょう。

EV向け電池の性能比較

電池性能の指標になるのが、先ずはエネルギー密度(Wh/kg)です。これは単位重量(kg)あたり、どれだけエネルギー(Wh)を蓄えられるかというものです。

そしてもう一つの指標がパワー密度(W/kg)です。これは単位重量(kg)あたり、どれだけパワー=仕事率(W)を出せるかというものです。 幾ら多くのエネルギーを蓄えていてもあまり小出しにされてはクルマは動きませんから。

このエネルギー密度パワー密度を対数グラフの両軸にして性能をプロットしたのが、ラゴーニ線図と呼ばれるものです。

下の図1はEV向け電池と比較の為のパワーソースのラゴーニ線図です。ただし、複数の文献(結構荒いグラフ)を参考に書いたので、関数的な正確さはありません。おおよその相対的な関係と考えてください。

図1:EV向け電池その他のラゴーニ線図
EV向け電池その他のラゴーニ線図

リチウムイオン電池

上の表を見ると、やはり本命はリチウムイオン電池でしょう。流石にガソリンには敵わないものの、電池の中ではパワーもエネルギーも高く優秀です。しかも、メモリー効果が殆どなく(ニッケル水素電池は分が悪い)、さらに充放電のエネルギー効率が96%以上と高い(ニッケル水素電池は90%)という特性はEVにとって重要です。

欠点は充電時に数十mA以内という極めて精緻な電流制御が必要なこと。過充電すると電極の結晶構造が壊れて異常発熱を起こしたり、最悪、正-負極が短絡して発火/破裂の危険があります。その為、高度なバッテリーコントローラや保護回路が必須です。IT技術の発達によって実用化できた電池ともいえるでしょう。

あとはリチウム資源確保の問題もありますが、今後もリチウム系電池中心に開発が進められると思います。個人的には金属リチウム電池(エネルギー密度はリチウムイオンの4倍)に期待しています。

ところで、一見して「鉛蓄電池も意外と頑張ってるじゃん」と思った人いませんか?気をつけてください、これは対数グラフですから。 実際には30Wh/kg 対 200Wh/kgで8倍近いの開きがあります。

意外な伏兵キャパシタ

キャパシタ(コンデンサ)とは、電池のように化学反応で電気(電子)を蓄えるのではなく、電子がそのまま電極に張り付いた状態で蓄電されるものです。

特徴としては、パワーは大きくエネルギーが小さい。また、充放電時間が極めて短かく、その繰返しにも強い事です。パッと咲いてパッと散る、過去の事は引きずらない潔い性格と言えましょう。この為、ブレーキで回生した電力を一時保存して再加速で一気に使うか、後でじっくりリチウムイオン電池に充電するような使い方が出来そうです。

中でも最近注目されているのが、電気二重層キャパシタ(ウルトラキャパシタ、スーパーキャパシタともいう←統一せい!)です。これは通常の(電解)キャパシタよりエネルギーを増やす代わりにパワーは落とした、言わば電池との中間にいるキャパシタです。明電舎の解説

エネルギー密度は今の所10Wh/kg程度とされ、電池の代わりには程遠いですが、研究中又はかなり怪しい情報も含めてリチウムイオン電池並の数値も出てきているので、今後に注目したいです。

最後にスペックをまとめてみました。これも割と適当(今後も変わる)ので大まかな比較として見て下さい。

  エネルギー密度 パワー密度 作動電圧 充放電寿命
リチウムイオン電池 200Wh/kg 900W/kg 3.8V 1000サイクル以下
ニッケル水素電池 80Wh/kg 500W/kg 1.2V 1000サイクル以下
電気二重層キャパシタ 1-10Wh/kg 5,000W/kg 0-3V 10万サイクル以上
アルミ電解キャパシタ 0.2Wh/kg 300,000W/kg 0-500V 10万サイクル以上

発想の転換

ここまで書いておいてなんですが、そもそも何百kmも無充電で走れる電池が必要なのでしょうか?そんな高価で巨大な電池を積んで走り回る発想自体がEVの首を絞めているような気がします。

普段の街乗り主体なら、ほぼ毎日数十キロ毎に自宅で充電するのではないでしょうか? ならば、電池は50-60キロもてば良い。またその程度の電力なら、高価な急速充電器は必要なく、普通の家庭用100V(コンビニ等は200V)で充分でしょう。

更に究極は、鉄道の電車のように給電しながら走るクルマ。と言っても架線もレールもなく、無接触充電器を信号など停止ポイントに設置する。車載ICチップかSIMカードのようなものからID情報を取得して電気代は自動引き落とし。というのはどうですかね?

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