間違いだらけの電気バイク選び

20 6月

この記事は新たなバイクに試乗するたびにインプレを追記していきます。また、その他一般論なども追記/修正して行くと思うので、ちょくちょくチェックして頂ければと思います(^^ゞ

電気バイクの区分と定格出力

以前の記事に書いたように、法律上電気バイクはモーターの定格出力によって、下記のように区分されます。

  1. 定格出力600W以下 => 原付一種(50cc相当)
  2. 定格出力1000W以下 => 原付二種(125cc相当)

エンジンの排気量に相当する指標として、モーターの大きさ≒定格出力(連続運転できる出力。最高出力ではない)で区分けしようという発想でしょう。

しかし、上の記事に書いたとおり、この定格出力の定義が曖昧で実際には自己申告で通ってしまうため、この数値と実際のパワーは殆ど関係があまりありません。一般的に日本製もしくは日本市場を強く意識したモデルはスペックよりもハイパワーで、中国の電気バイクをそのまま輸入したような場合はスペックよりもローパワーなようです。

尚、必要免許、税金、保険料などは、同一区分のエンジンバイクと全て同じです。残念ながら、四輪車のように、エコカー減税のようなものはありません(但し、自治体によっては優遇税制を実施してる可能性あり)。しかし何故か(^^;ヤマハやホンダの電気バイクに限っては、購入時に補助金が出るようです。

市販電気バイク比較インプレ

では、今まで僕が試乗したバイクのインプレです。

ヤマハEC-03

EC-03ノーマルとパワーの2つのパワーモードがあるが、ノーマルだと加速がとても緩慢だし、なんと法律上の上限30km/hちょい位でリミッターが作動してしまう。

なので、普通は皆「パワー」モードで走ると思うが、この場合は街なかをキビキビ走れるレベル。ただ、小型電気バイクの宿命というか、急坂に差し掛かるとドンドン減速し最終的には30km/hに落ち込む。また、下り坂では勿論楽々加速するが、50km/hでガクンとリミッターが効いてしまう。

ハンドリングは軽量/高重心で不安定、ギャップでフラフラ心もとない。メットインも小物入れも無いミニマムな装備で25万円。バッテリーも固定式で、従来モデルのEC-02からむしろ退化している。ヤマハがこれを本当に売ろうと思って出してきたのか甚だ疑問。

詳しくは僕の詳細インプレをご覧ください。

Prozza ミレット

ミレットほぼ全国の家電量販店で取り扱っており、多分最もよく知られた電気バイクだろう。

Prozzaは日本のカー用品の会社。製造国は中国だと思うが、イタリアンデザインらしく、ルックスも良く、車体やサスもまとも。

モーターの定格出力は原付枠に満たないたったの350W(でも原付扱い)。その割りに出だしの加速はまともだが、最高速は40km/h以下。これはリミッターやパワーモードの制約とかでなく、マシンの限界(^^;

秘密兵器のペダルも、正直気休め程度。多分止まりそうな位の急坂だとそれなりに効果はあるのだろうが、平地で漕いでもギア比が低すぎて追いつかず、加速も最高速も殆ど変わらない。

因みに、べダルを漕ぎながら坂を上るビデオを見て、バッテリーが切れても自走できると思う人が居るかも知れないが、それはかなり厳しいだろう。ペダルはあくまでモーターのアシストであり、ペダルだけだと滅茶苦茶重い自転車を漕いでる位しんどいと思う。

キュートなデザインとポップなカラーバリエーション、10万円ちょいの価格は一見魅力的に写るが、動力性能は電動自転車に毛が生えた程度。なのに日本の法律上は原付扱いの為、ヘルメット着用や納税の義務があり、歩道は走れない。ならは値段が同じでも、電動自転車を選ぶ人が多いのではないだろうか?

>> 詳細インプレ

Milleto Li500

ミレットLi500チウムイオン電池を搭載し、モーターも500Wになったニューモデル(旧仕様も併売)。

350Wの旧仕様から比べるとハッキリとパワフルになった。出だしのレスポンスはやや唐突に感じるほど。駐車場での試乗なので30km/hちょい位までしか出せていないが、その範囲で尚且つ平地であればパワー不足は感じなかった。比較で言うと、EC-03あたりと同等のパワー感だと思う。最高速は47km/hくらいだというからライバルよりやや低めか。

ハンドリングは率直。鉛電池仕様のスクータタイプに有りがちな、寝かすときの重量感やセルフステアの不自然さがないので、タイトターンも苦にならない。またEC-03と同様にLIBパックがシート下に縦に置かれたレイアウトだが、EC-03で感じた高重心感/不安定さは無かった。

今回初めて、電池切れのケースのシミュレーションとして、メインスイッチをOFFにしてペダルを漕いでみた。予想通りかなり重く、そのくせあまり進まない(つまりギア比が低いくせに重い)。これは車重が重いからというより、モーターを引きずってる(但し発電はしていない)ような気がする。また、普通の自転車と違ってシートとクランクの間隔が短すぎ、尚且つクランクもかなり短いので漕ぎにくいという点も大きいと思う。

その他、詳細は:バイクインプレNEOを御覧ください。

Prozza EV-R 55

ミレットと並べて売ってる事が多い。こちらはフルパワー(?)の600W仕様で、車体も立派というか普通の原付的。

ところが実際に走ってみると、出だしの加速感はミレットと大差なし。最高速は40km/h以上出るが、50km/hには届かない(下りならもう少し出るかも)。これもやはりリミッターとかではなく素の実力。

乗り心地もドタバタ・ゴツゴツ系で、デザインや質感もダサダサという典型的な中華バイク。これで定価:207,900円(専用充電器:18,900円!)はちょっとあり得ない。

VALIANT SHOCK

shockVALIANTは箕面市にある個人商店だが、今は廃業。同じ形のバイクを別の店で売ってたような気がする。

少なくともVALIANTでは、車体は同じで様々なタイプのモータやバッテリーの仕様を販売している。モデル名は忘れてしまったが、幾つか試乗した内、最もハイパワー(ハイトルク)なモデルについて紹介する(写真のとも違うと思う)。

先ず、遊園地の乗り物のように、出だしてガツンとトルクが出てしまう。コントローラの調整不足と店の人も言ってた。

その後のパワーは素晴らしく、250でも手こずりそうな急坂をガンガン上っていく。一応原付二種枠なので定格は1kW以下と言うことになってる筈だが、実際のトルク感としてはEC-03の3倍以上と言う感じ。

サスのストローク感が無く、重い車体の割りに乗り心地はゴツゴツと硬い。ブレーキタッチも、回生を使ってるのかどうか判らないが、リニアでなくコントロールしづらい。

車体のクオリティーは中華バイクだが、このパワーはEVのポテンシャルの高さを示すもの。日本の定格規制がつくづく馬鹿馬鹿しい。

ホンダ EV-NEO

EV NEOEC-03やe-Let’sより明らかに大柄、シグナス125位の車格。乗った感じもドッシリ安定し、乗り心地は良好。

狭い大阪モーターサイクルショーの試乗コースだからハッキリしたことは言えないが、加速感もより軽量なモデルと遜色ない。大型車らしく、ほんの出だしはマイルドだが、その後の加速は伸びやか。この車体でこの動力性能なら、定格600Wのところ実際は3kW位出てる感じ。業務用にしとくには勿体無いラグジュアリーサルーン。ただしお値段もラグジュアリー。

スズキ e-Let’s

eLet'sEV-NEOほどではないにせよ、EC-03より一回り重厚な乗り心地。低速でも高速でも、EC-03のようなふらつき感は無い。

パワー的にも出だしの加速感は結構鋭い。ただ飛び出しを避けるためか、数秒のタイムラグの後にグワッとトルクが立ち上がるのはちょっと不自然。個人的にはもっと自然なレスポンスのほうが扱いやすい。

最高速はメーター読みで50km/h台中盤という感じ。下り坂でも、60km/hにはなかなか届かない。ただ、EC-03のように50km/hになると、急にパワーをカットするような制御にはしていない。

その他詳細インプレはバイクインプレNEOに記載。

eLet'sのバッテリーサンヨー製リチウムイオン電池のコスト計算

シート下のスペースはバッテリーパックとそれと同じ大きさの充電器が占領しており、ラゲッジスペースは無い。隙間は結構あるので、バッテリーや充電器の形状を工夫すれば、多少なりとも収納スペースが取れたはず。

充電器のスペースにはオプションの追加バッテリーパック(8万円)を装着することが出来、ダブルバッテリーで航続距離は2倍になる。その代わり充電器(写真で引き出してる方)を持ち運ぶことは出来なくなる。お値段〆て39万円!

この追加バッテリーは元々付いてるメインバッテリーと同じものであり、メインバッテリが使えなくなった時も購入する必要がある。試乗した店のスタッフによれば、スズキは充放電600回で交換を薦めているという。

それに従えば、一回の充電で20km走れるとして12,000kmで電池交換となる。一方、その距離をガソリンバイクで走った場合、燃費を40km/Lとすれば300Lのガソリンを消費する。ガソリン価格が150円/Lとすると合計45,000円。電池価格の約半分である。

勿論、充放電600サイクルで電池の価値がゼロになってしまう訳ではないが、その倍も使えば恐らく航続距離的に使い物にならなくなるだろう。そこまで使って やっとガソリンバイクとトントンでは、Let’s4の約2倍車両価格の元を取ることは、実質不可能といって良い。

Scootech SC425F

原付1種登録のハイパワーバージョン(鉛電池仕様)。出だしのアクセルレスポンスはやや唐突だが、その直後の加速は緩慢。しかし20km/hを超えたあたりからの中間加速は素晴らしい。それが大体40km/hちょっとまで続き、最高速は50km/hを少し上回る。

かなり急な坂(多分勾配8%以上)を登ってみたが、極端に失速することはなく35km/h位で登り続ける。総合的に見て、今まで公道で乗った原付一種スクーターの中では最もパワフルだと思う。そして、他の電動バイクに比べてモーターが静か&スムーズに感じた。お店で借りたヘルメットのせい?

ハンドリングは小径ホイールと重量のせいか、ふらっと倒れる感じ。乗り心地も中華バイクに有りがちなプアー感が若干ある。ただ、車体を上下に揺すって見たところ、サスのストローク量はそこそこあるし動きも結構スムーズ。なので、1G’でストロークを使い切ってる可能性もあるが、ミシミシ音や弾力性の無いシートがプアー感に繋がってる可能性大。

航続距離のスペック30kmというのは保証値であり、お店の人によれば実際に普通の乗り方でそのくらいは走るという。もっとも、現在エンジン原付で通勤している人は、片道20km/hは走らないとダメらしいが。

Scootech SZ552M

Scootech SZ552MスクーテックのLIB仕様でスタイルも一新。期待したほど軽量でもパワフルでもないが、大容量のバッテリーパックのお陰で航続距離は格段に伸びてるはず。

元々走りはよく、長い航続距離を誇り、スタイルも中華らしくない洗練度。恐らく日本で買える中華電気バイクの最高峰だろう。勿論、コストパで日本製を凌駕しているのは言うまでもない。>>詳細インプレ

>>詳細インプレ

Vita LIB仕様

リンクは鉛仕様だが、試乗したのは新開発のLIB仕様。制限速度20km/hのところをオーバーして精々30km/hくらいの超狭いコースだったが、少なくともその範囲によいては素晴らしいパワーとスムーズさだった。公道試乗で今までで最高と書いたScootech(鉛電池)は、出だし直後にややもたつきがあるのに対し、VITAは直線的にパワーが上昇していく感じ。35km/h以上の領域で比べたらどうなるかとても興味深い。

ハンドリングに関しては、昨年チョロットだけ乗った鉛電池仕様と同様の癖があった。LIB仕様になって軽量化されたはずだが、寝かし始めた時の重量感というか高重心感はある。つまりフラッと倒れる感じだが、セルフステアが弱い(思ったほどきれない)ので益々倒れこんでしまう。なので、タイトコーナーでは扱いにくい。昨年乗ったCOMPAのハンドリングはナチュラルで安定してたので、それにこのパワートレーンを付けたら最高ではなかろうか。

その他の電動バイク

その他、展示会場で少しだけ乗ったプロトタイプなどが幾つかあります。クルマ未来博2012を御覧ください。

電気バイクオーナーの為のTIPS

もし電気バイクを所有した場合に、考えられる注意事項を書いてみました。

航続距離

よく問題になる航続距離ですが、カタログの数値は現実には有り得ない設計上の数値だったりします。エコ運転をせず普通に走れば、現実の走行距離はカタログスペックの半分位ではないでしょうか。しかも、電費の計測条件は各社バラバラで、ある会社は30km/h定地電費のような上限値だが、ある会社は最低保証値を出したりします。

現実の路上では、当然ながら走り方が電費を大きく左右します。もっとも、原付1種の電動バイクならほぼ全開でしょうから^^;走り方というより、走るシチュエーションが問題になるでしょう。つまし坂が多かったり、ストップ&ゴーが多い街中ほど電費は悪くなります。

よく「モーターは起動直後に最大トルクを発生し・・」などと言いますが、効率という意味ではむしろ回転数を上げた方が電気を食いません。これは以前書いたDCモーターの特性上、無負荷回転数(最高回転数)の少し下付近で最も効率が高くなるからです。因みにパワーのピークは無負荷回転数の1/2の時。なので本来、それ以下の回転数はパワー的にも効率的にも使う意味が無いのです。

しかし電気バイクには通常変速機は付いていないので、適当な回転数に制御する事は出来ません。出来るのは速度調節だけ。よって電費の為にはちんたら走らずにさっさと加速すべきです(^^ゞ それ故に、信号待ちで何度もゼロスタートを強いられるとか、上り坂のように低速でアクセル全開だが加速しないといった状況は、効率の悪い領域で電流ばかり流れるので最悪というわけです。

動力性能

上述のように、大抵のEVは変速機を持たないので、加速性能は減速比と大いに関係があります。変速機を持つエンジンバイクなら、出だしの加速の良し悪しでトップエンドの加速も大体想像できます。しかし、電動バイクの場合は「出足は良いけど直ぐに頭打ちになる」か「出足はトロいが最高速は伸びる」か?というトレードオフに直面します。特に絶対パワーの制約が厳しい原付EVの場合はそれが顕著に現れます。

だから本来、30km/hほどしか出せないコースでは動力性能は評価出来ないのです(*_*; なので、僕のインプレで会場内特設コースで試乗したものに関しては、その辺を割り引いて読んで下さい(^^ゞ本当は皆公道で乗るべきなんですが、近所にディラーがないブランドだと難しいので・・・

他に動力性能を大きく左右するファクターはライダーの体重です。エンジンバイクでもそうだと思いますが、原付クラスだとライダーの体重が加速性能に与える影響は決定的です。僕のデンキカブでも、75kg以上ある僕が乗るのと60kgもない従兄弟が乗るのとでは、加速や登坂性能がまるで違います(・。・;

だから電動バイクの動力性能をアップする最も確実な方法はライダーがダイエットすることです。勿論これは電費性能も向上させるので一石二鳥です。バイクを15kgも軽量化するのは大変だし何かを犠牲にする必要がありますが、人間の軽量化は健康にも良いし簡単・・・・ではないところが唯一の問題点ですが。

電池の劣化とサイクル寿命

上記e-Let’sの項でも触れましたが、EVで厄介なのはバッテリーの劣化という問題です。これは、充放電の繰り返しにより電極に老廃物が蓄積し、電池容量が減っていくという現象です。多くの場合、電池容量が当初の8割になる充放電回数をサイクル寿命と呼んでいるようです。

例えば鉛電池の場合、一般的なシールドタイプであればサイクル寿命は400回程度といいます(参考:ユアサのサイト)。尚、鉛電池は放電した状態が化学的に不安定なので、電池切れの状態で放置すると忽ち劣化が進みます。よって鉛電池仕様の電動バイクなら乗ったら直ぐ充電するのが正解

一方、リチウムイオン電池(LIB) のサイクル寿命は短いものだと300回、長いものだと2000回とかなり幅があります。一般にIT機器に使われるリチウムポリマーの寿命は短く、リン酸鉄タイプは長いようです。

鉛電池と同様に限界まで放電してしまうと劣化を進めますが、LIBの場合はむしろ満充電の方が電池に厳しいのです。特に高温環境下で放置すると劣化が早いといいます。参考:ノートPCの電池は何故劣化が速いか

だから鉛電池とは逆で、放電したら直ぐにフル充電という習慣は考えものです。もっとも、真夏でも半日程度ならフル充電で放置しても問題ないそうですが、それが何週間も続くとマズイでしょう(LIBは自己放電が非常に少ないので、一旦フル充電したら長期間その状態)。だから何日も乗る予定が無いときは、半分位の充電で留めておくのが正解です。実際には結構難しいかもしれませんが。

これに関連して、一般に電池の容量をフルに使い切るほど寿命は短くなります(容量が早く減る)。例えば、フル充電-電池切れを400回繰り返すよりも、フル充電から25%下で充電を止めフル放電より25%残して放電終了(中央の50%だけを使う)を800回繰り返す方が電池の劣化は少ないといいます。

もっともLIBにはBMS(Battery Management System)が必須で、電圧/電流が厳しく管理されています。そして通常は、その電池が本来持っている容量を最大限使うことはなく、充電側も放電側もある程度余力を残してストップしているのです。この余力が大きいほど電池には優しく寿命が伸びますが、当然実質的な電池容量は減ることになるので痛し痒しです。

個人的要求スペック

ここで、電気バイクに対する僕の要求仕様を書いておきます。

  • 最高速は一種で50km/h、二種で80km/hは余裕で出せて、そこまでの加速は尋常な車と遜色が無い事。
  • クルマが通れる車道である限り、かなりの急坂も40km/h以下に落ちない事。
  • 航続距離はアップダウンの激しいコースをほぼ全開で20km程度。平地のノンビリ走行なら40km程度。
  • ハンドリングや乗り心地、そしてデザインが国産又は台湾製原付位のレベルにあること。
  • スクーターとしては当然のメットイン又はそれに順ずる大きさのラゲッジがあること。
  • 価格は鉛電池仕様の場合、一種で12万円以下。二種で18万円以下(実売価格)
  • リチウムイオン電池仕様の場合、一種で19万円以下。二種で25万円以下(実売価格)

といったところです。厳しいようですが、これ位ないとガソリンバイクに対して総合的にアドバンテージがあるとは言えないでしょう。

中華電動バイクの裏事情

ヤマハやスズキと言った大手2輪メーカーの製品を除き、電動バイクの殆どは中国製です(一部は台湾製)。日本製を謳っている製品もありますが、中国で生産されたものを日本で検品/リビルトしているに過ぎません。もっとも、この検品工程がポイントになるのですが(後述)。

中国に行った事がある人はみな目撃しているように、都会でも田舎でも電動バイクが走りまくっていると言います。当然ながら日本の感覚からするととても安いので、これを仕入れて日本で売ったら儲かるんじゃないか?と考える人が居てもおかしくありません。

しかしここに落とし穴が!中国で走っているのは電動モーターサイクルではなく電動自転車だったのです。見た目は日本で走っているスクーターのように立派ですが、中国の法律上は自転車扱い。一応最高速30km/h以下と言うことになっていて、免許も不要ならヘルメット着用の義務もありません。

ウインカーなどは一応付いていますが、作動しなくても気にする人はあまりいないらしく(法律上おお咎め無し?)、そうなると中国メーカーは当然手を抜いてきます。そしてこういう「バイク」を日本で販売すれば当然「ウインカーが点灯しない」とクレームになります。

他に中華バイクでメジャーな不具合と言えばパンクだそうです。中華バイクは殆どがキャストホイールですが、不思議な事にチューブが入っています。実はこれ、本場中国ではチューブレスタイヤで走っているのですが空気漏れが多少あるらしく、これでは日本ではクレームになるということで態々チューブを入れたそうな。ところがこれが裏目に出て、キャストホイールの内側のバリ(そんなもん中華メーカーは取ってない)でチューブに穴が空きパンクですと(泣)

そんなこんなで日本ではクレームの嵐。これに懲りて、中国製のみならず電動バイクそのものを「もう2度と買わん」というお客さんもいるそうです。また、無関係なバイク屋さんにもトバッチリが・・・自分が売ったわけではないので修理する義理は無いのですが、バンクくらいなら修理してやるよと引き受けたのが不味かった。上述のバリによってパンクが再発。「ちゃんと修理したのか?」と客に疑われる始末との事。

なので、電動バイクのユーザーはトラブルがあったらちゃんと買った店に言いましょう。その店で修理できるか否かは問題ではありません。そうしないとメーカー(または輸入会社)に不具合情報が上がらないからです。また取扱店としても、余りにもクレームが多いなら取り扱いをやめようかという判断材料にもなります。

という訳で、電動バイク≒中華バイクの品質は日本での検品工程にかかっています。でもよく考えたら、そんな2度手間かけりより最初からちゃんと作れよと言いたくなります。しかし、大手カーメーカーでもない限り、中国工場での品質管理は困難を極めるようです。資本注入して自社工場化しても期待する品質には達せず、やはり日本でリビルトしているとか(;´д`)トホホ…

ならいっそのこと、部品だけ輸入して日本で組み立てた方が良いんじゃない?と思ったのですが、中国では輸出時に一品ごとに関税がかかるようで、パーツ単位の購入は割高なんだとか(出来るだけ中国国内の労働力を使わせようという中国当局の戦略)。

だったらもう中国なんてやめてどこか他の国で作れば良いじゃん!と思いますが、中国のように様々な部品メーカがある国は他にありません。例えばタイなんてバイクやクルマの生産では中国より先行している筈ですが、独立系が少なく殆どは日本や欧米企業の現地法人だそうです。だから、電装関係でも機械部品でも中国みたいに安く揃わない、またはそもそも作っていないそうです。

ならば、バングラデシュやミャンマーのような新たなフロンティアを一から開拓する・・・なんてことは大資本が無いととても無理でしょう。という訳で、様々な問題を抱えたまま中国で電気バイクは作られていきます(電気バイクに限った話ではありませんが)。オーナーの皆さんはその辺に思いを巡らせながら乗って下さい(^^ゞ

電気バイク産業の今後

スズキなら現実的な価格で出してくれるだろうと期待したe-Let’sも、蓋を開ければヤマハやホンダの電動バイクと同じく、一部のエコマニア(企業)向けの製品でした。年間販売目標台数1000台という、大メーカーに有るまじき数値が売る気の無さを表しています。

問題はバッテリーの価格につきます。容量*サイクル寿命当たりの価格が、今の国産LIBの1/3位にならないと、ガソリンバイクに対して経済的に対抗できる商品にならないでしょう。それが出来ないなら、低性能だが安い鉛電池を高頻度で交換したほうが安上がり、という計算も成り立つかも知れません。

普段サプライヤに対してコストダウン要求が凄まじい完成車メーカーも、電池メーカーに対しては強く出れないのでしょうか?それとも本当にギリギリの価格なのか?何れにせよ、台湾や韓国のLIBメーカなど海外のサプライヤを検討すべき時だと思います(もうしてる?)。

なんかビジネス的な話になってしまいましたが、そういうことを真剣に考えないと、電気バイクは何時まで経ってもマイナーな存在に甘んじるのではないかと思いました。

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