電池交換式スクーターGogoroの展望

11 8月

確か数年前にプロモーションを見た、台湾のバッテリー交換式の電気スクーターGogoroサービスを開始したようです。

パフォーマンスとバッテリー

何と、最高速:約95km/h、航続距離:約97kmという驚きのスペック。しかしこれは、同時には絶対実現しないという有りがちな数字のトリックで、実際には95km/hだと20分も持たず、97km走るのは40km/h定地走行とかでしょう。

とは言え、最高速50km/h前後、航続距離40km/h程度(30km/h定地走行)の日本の原付きクラスEVと比べると格段にハイスペックであり、そうなると気になるのはバッテリーの容量です(公式発表はないみたい)。

ヤマハのEC-03のバッテリーが約700Whということを考えると、その約3倍の2kWh程度必要ではないかと思います。そうすると、画像にあるバッテリーパック2個セットで15〜18kgほどあるんじゃないでしょうか?

ただこれを、2つのバッテリーパックに振り分けたのは正解かも知れません。1個にして重いかばんを両手で持ち上げるように持つより、鉄アレーを両手に持つようにした方が楽な気がします。勿論、2個も必要ない時は1個だけ積むとか、1個づつ充電するとか出来ますし。

車体

ルックスは3年前に台湾EVショーで見たドイツデザインのスクーターにそっくりです。同じ会社がデザインしたのかも知れません。それなりに可愛らしく、未来感があるルックスですが、やや女性向けかな。

Gogoro frame

それより衝撃的なのはフレームというかボディーの構造。何とアルミモノコックなんですね。こりゃお金かかるわ。(公式サイトを下にスクロールしていくと、動画で構造を説明してます)

またシート下にはバッテリーパックが2本鎮座しますが、その後ろは小さなメットなら入りそうなラゲッジスペースがあるのは好感が持てます。

パワートレーン

これもかなり凝っていて、モーターは日本の電気スクーターでも使っていない水冷式。モーター自体はかなりコンパクトなのに、95km/hも出せるということは、モーターの性能プラス高効率な冷却システムた必要なのでしょう。

水冷という事はインホイールには組み込めないので、当然車体側に設置してベルトドライブ駆動になっています。インホイールモーターはパワーや効率に限界がありますし、重量配分や路面追従性にも劣ります。

テラモーターの最高級モデルを含め、中華オリジンの電気スクーターは皆、見たことあるパンケーキ型のインホイールモータで、スイングアームにベルトドライブ風の樹脂カバーをかけるというダサさですから、それに比べたらルックスだけとっても格段に上等ですね。

価格・料金

50万円という価格は日本人の感覚でも高いですが、台湾では125ccクラスの台湾スクーター(恐らく20万円以内)が主流ですから、尚更割高感があるでしょう。

もっとも、この50万円には2年間のバッテリー交換システム利用料金が含まれるとのことです。もし2年後に手放して24万円で売れたとしたら、差額は26万円。車両とランニングコスト合わせて、年間13万円で使える事になります。

月額制の場合は約1200~約3500円とのことなので、この幅が何なのか判りませんが、最高額の3500円としても年間42,000円で済みます。これって、車両代は別つまり3年目以降の話ですかね?

一方、エンジンスクーターの場合は、20万円で買って2年後に10万円で売れたとすれば、年間5万円の車両コストです。加えてガソリン代ですが、燃費が平均35km/Lで年間1万km走るとしたら、286L必要。ガソリン価格は日本の140円/Lを適用すると4万円/年。車両コストと合わせると、年間9万円です。

この3パタンではGogoroの月額制が車両代を含んでるなら圧倒的にお得ですね。3年目以降の話だとしても、減価償却はドンドン減っていくので、長く乗るほどエンジンスクーターよりお得になっていきます。

通常のEVなら、何年かに1度のバッテリー交換費用をユーザーが負担しなければならず、ランニングコストは永遠にガソリン車に敵わないという事態が起こります。その点、バッテリーがレンタルなら、利用者バッテリーの劣化を気にしなくて済みます。

バッテリー交換システム

バッテリー交換式EV事業といえば、ベタープレイスを思い出しますが2-3年で頓挫しました。直接の原因はバッテリー交換可能な専用車を製造(改造)するコストが、その需要に対してペイしないという事だったと思います。

その点小型2輪なら、バッテリー脱着式にするコストは大したこと無く、実際に交換式の2輪EVは既にあります。また、4輪なら大掛かりなバッテリー脱着用の設備が必要ですが、小型2輪なら人力で入れ替え可能です。これで、EVの弱点である充電時間に囚われる事無く、電池がなくなってきたら交換して直ぐに走り出せます。

ではここで、電池交換ステーションで何時でもフル充電の電池を入手するためには、稼働バイク数に対して一体幾つの電池をが必要か考えてみたいと思います。

計算を簡単にするために、ある閉じたエリアにバッテリーステーションが1箇所だけあるとします。もしそのエリアにあるEVが1台だけなら、一方のバッテリーを充電してる間に再び交換に戻ってこない限り、バッテリーパックは稼働用と充電用の2セット(2台分)で充分です。

EVが2台の場合は、バッテリーパックはその倍の4セットあれば充分でしょう。もし2台のEVが同時にバッテリーを交換に来たり、バッテリーを充電中に一方が交換に来たりしないなら、充電用バッテリは1個でOK。つまりトータル3セットのバッテリーで運用できます。

EVが3台なら、トータル6セットのバッテリーが充分条件ですが、交換需要が常時1台分以下なら、トータル4セット(1個の充電用バッテリ)で回せます。もし、同時バッテリ需要が2台以分下ならは5セットで回せます。

以上から一般化すると、EVがn台あってバッテリーの同時最大交換需要がm台分なら、n+m台分のバッテリーを用意すればOKです(当たり前といえば当たり前^^;)。従ってnに対してmを幾つと見積もるかが、このビジネスのポイントになりそうです。

もしEVの稼働時間がバラバラなら、mはnの3割くらいあれば回せそうな気がしますが、通勤通学用途で時間が集中してしまうと、皆一斉にバッテリー交換にやって来るでしょう。そうなるとnとほぼ同数のmが必要になってしまいますね。

今後の展望

電気スクーターの電池交換インフラ事業は、少なくとも3-4年前から台北市政府がやっていた筈ですが、最近音沙汰がありません。Gogoroがその事業を引き継いだということでしょうか?

上述のように料金体系がよく判りませんが、もし初期費用無しの月額3000円程度で電動スクーター乗り放題なら、利用者は急増すると思います。しかしそれで、事業としてペイするのでしょうか?

同一規格のバッテリーを使うEVが充分普及しなければ、バッテリーステーションは増えませんし、製造上のスケールメリットも生かせません。それでは事業が頓挫するか、価格に転嫁すれば益々普及しないという悪循環です。

バッテリー交換(流通)方式は、EV最大の弱点である充電時間の長さと、バッテリーの劣化問題を解消してくれます。しかしこれは、直接の負担者が消費者から事業者に変わっただけです。料金が利用者に受け入れられ、なおかつ事業として成立するかは、やはりバッテリーの性能とコスト次第でしょう。

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