掲示板からの転載(一部修正)ですが、 i-MiEV試乗レポートをお届けします。
特別な試乗会ではなく、一般ディーラーでの試乗です。大阪も兵庫も数台のi-MiEVを県下のディーラーで使いまわしているらしく、まさに引っ張りだこ状態。近所のディーラーに回って来る日を聞いて予約していました。
見かけはド派手なカラーリング以外はいたって普通のアイですが、僕はそのノーマル・アイに乗ったことが無いので比較は出来ません。
試乗インプレ
先ず走り出しは普通のATのようにクリープがあり、タウンスピードではトルコンATのようなマイルドなレスポンスです(ただしすべり感は無い)。当然ながらモーターのドッカントルクをそのまま出すような事はせず、極力普通のガソリン車に近づけたという三菱の狙い通りでした。
EVらしさを感じるのはアクセルを踏み込んだ時の加速感。ヒューンという電車のような音をたてながら、前からゴムで引っ張られるように加速感はとても爽快です。その場合もレスポンスはあくまでジェントルです。
あとEVは無音だと言われますが、良い意味でちゃんと音はあります。ゆっくり走ってもタイヤのロードのイスはあるし、踏み込めば上述のインバーター音を響かせます。
多分プリウスでモータ走行している時の方が静かです。あっちはエンジン付きなので一応防振処置をしているからでしょう。i-MiEVは下の写真のようにモータがむき出しです。
プリウスでおなじみの回生ブレーキのフィーリングはどうでしょう?
50km/hくらいから信号で停止するくらいの普通のブレーキングをしてみました。「カックンブレーキくるかくるか?」と身構えていましたが、何も起こらずに停止してしまいました。
残念ながらBモード(回生重視)を試すのを忘れてしまいましたが、少なくともDモードでは「本当に回生してるの?」と疑いたくなるほど、普通の油圧ブレーキと何も変わりません。
HVよりバッテリ容量が大きい分、回生は強めにかけてると思ったのですが、いつ失効したのかも判らない・・・謎です。
(あとで判りましたが、i-MiEVは摩擦+回生協調ブレーキを全くやっていないとのこと!回生はアクセルOFF時のみ。⇒国沢氏レポート)
ハンドリングについては意外なほどしっかりしていました。バッテリーを積んで重量配分が変わったので、元のアイより安定感が増したという話はよく聞きますが、強靭なフロア構造にしたためにボディー全体の剛性感もアップしているのかもしれません。
電力メータと残量計
更にうっかりした事に、運転中は殆ど見ていなかったけど、メータ類は写真の通りです。
デジタル速度計の周りの丸いのが、消費電力-回生電力計です。これをちゃんと見てればどのくらい回生してるか確認できたのに・・・あとこれとは別に、モータ回転計も装備してくれたら面白いと思います。
右のkm表示は、モードを変えると残りの走行可能距離になりますが、たった37kmでした。バッテリーゲージは80%ほどあるのに少ないなと思いましたが、店員の話ではもっといくそうです。
フル充電からフル放電までの実際の航続距離は、ヒータをつけたときが一番短くて約80km。クーラーなら100km。エアコンOFFなら120kmほどだそうです。そのくらい走れば街乗りでは充分だと思います。
i-MiEVの価格
さて、気になるお値段ですが、先ずi-MiEVは買えません!リース契約のみです。
メンテナンスリースという契約で、半年毎の定期点検、車検(1回)、タイヤ交換、補助用バッテリー交換などの費用が含まれます。
まず補助金なしのリース試算は次の通り;
車両本体価格:4,599,000円
メーカーオプション:73,500円
ディーラーオプション:19,950円
自賠責保険(5年間):54,060円
その他登録諸費用:31,500円
合計すると4,778,010円ですが、これに税金などが加算されるのか、月額料金は次の通りだそうです。
86,625円 * 60回
なんとも凄い値段ですね。僕が東京で借りていたマンションの家賃に匹敵します(^^;
補助金は4月にならないと本決まりじゃないそうですが、もし予定通り1,390,000円だとすると、月換算27,450円減額され;
59,220円 * 60回
となるそうです。僕が尼崎で借りていたマンションの家賃に匹敵します(^^;
ちなみに、即金で払うから売ってくれといった客がいたそうですが却下です。じゃあ、5年後リース料を払い終わったら自分のものになるかと言うと、ならないそうです。なんか納得いきませんよね。
まとめと提言
「軽だと思って乗ったら、速いし静かなのでビックリした」なんていう巷のインプレとは逆に、ある意味過剰なEVの予備知識を持って試乗した僕にとっては、想像より普通っぽい車だと感じました。三菱が「普通の車から乗り換えても違和感が無い」ことを重視した結果でしょうが、個人的にはもう少しインパクトを出しても良かったと思います。
とは言え、多めにアクセルと踏んだ時の加速感は流石にEVならでは。狭い住宅地を回っただけなので、もう少し速度が高いルートならもっと楽しめたのにと、正直欲求不満です。
ある意味最も違和感があるのは、(判っていたとは言え)価格そして販売方法でしょう。
460万円全額払っても自分の物にならないし、逆にレンタルのように暫く乗って返すのもダメ(途中解約したら違約金をとられるみたい)というスタンスは、「EVが手に入るなら出費はいとわない」というお金持ちまで拒絶しているかに見えます。
リース契約オンリーの表向きの理由は「 ユーザーや一般の修理工場ではメンテナンスできないから」とのことですが、裏を返せば「どんな不具合が起きるか予測できない」と言う事ではないでしょうか。それこそプリウスのABSよろしく、定期点検に度にこっそりプログラムをアップデートされ、場合によっては電池も新品になってる・・・なんてね。
更に深読みすれば、技術流出を恐れての策。つまり外国企業がダミーの名義で購入して、i-MiEVを分解してバッテリーやモーターをくまなく調査するような事態を恐れているのかもしれません。
こうして見ていくと、i-MiEVは尋常な商品ではなく、ユーザーによる公道実験中のベータ版という見方が出来ます。そのことを「けしからん」というつもりはなく、むしろこうしたコンピュータソフト的な手法もありだと思います。しかし、それならそうと公言しユーザーに納得してもらってから契約すべきだと思います。「状況から察してくれ」では不誠実だし、第一ベータ版にしては値段が高すぎるかと。
追加試乗レポート
今度はもっと広い場所(伊丹空港のろーたりー)で試乗できたのでレポートします。
ほぼ全開の加速はやはり力強く、エンジンノイズが高まらないので、風に押されているような気持ちよい加速感でした。
コーナリングもガッチリと安定していて、FFのようにフロント主体で曲る感じでもなく、 逆にMR-Sのようにフロントの軽い感じでもない、駆動方式が良くわからない(それだけ重量配分が適度)なハンドリングでした。
Youtubeに動画をアップしました(撮影は僕で運転は友人)